一耕一珍染 

歴史的背景

 歴史は古く室町時代中期から江戸時代まで栄えていた、日本絵画史上最大の画派に狩野派があります。京都二条城二之丸の襖にも代表作を残している狩野探幽(1602~74)、その弟子である、久隅守景(生没年不詳)は数多くの絵画作品を残していますが、画業のかたわら、一珍染め(一陳染め)を完成させ染物に文様を浮き出すことに成功し,染めの絵付けを兼業していたと伝えられています。                
宮崎友禅斎はその一珍糊に着眼し、これに工夫を加えて新しい防染糊、いわゆる友禅糊を作りだし、晴れやかな友禅染めを広めていきました。その後、友禅染が主流になり、一珍糊は姿を消したとされています。


丹後ちりめんを使用して一耕一珍染にて、味わいのある手描きです。

染めの特徴

 その染色の特徴は糊(防染糊)にあり、もち米を用いる友禅染に対して、一珍糊は小麦粉と石灰から出来ています。一珍糊は古典的な糊であり、友禅糊に比べると不安定な糊と言えます。

その特徴を生かすことにより、一珍糊は乾くと細かな「割れ」が入り、そこに染料を加えると「氷割れ」とよばれる独特の表情が生まれます。
自然に生み出される「にじみ」や「氷割れ」、「かすれ」は、自然力と偶然が作り出す素朴な美しさがあります。

一耕一珍染

 一時は姿を消し、まぼろしとされた一珍糊。アトリエ一耕では、その一珍糊を独自に研究開発し、一珍糊作りから発想、デザイン、染色工程すべてを手作業にて、一貫して創作しています。                              
一耕一珍染は、古代染色の秘伝を現代風にアレンジしたものです。


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一耕一珍染


一耕一珍染め

 

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